おなかの中にいる赤ちゃんの状態がある程度わかる出生前診断。

これから妊娠を考えている人、妊娠している人の不安を取り除いてくれるかもしれません。

出生前診断でわかること

出生前診断には大きく分けて5種類の検査があり、検査によって診断の正確性は異なりますが、おなかの中の赤ちゃんに「染色体異常があるかどうか?またはその可能性」がわかります。

染色体とは?

人の体はお父さんとお母さんの遺伝子が元になっており、遺伝子の情報は染色体という入れ物に入っています。

染色体は46本あり(うち2本は性別を決める性染色体)、それぞがペアを組んで1番~23番となっています。

染色体に異常があるとどうなるの?

1番から22番までの染色体に何らかの異常があると染色体異常となり、先天性障害が発症します。

出生前診断で主に検査する染色体異常は「21トリソミー」(21番目の染色体が3本あるかどうか?)、「18トリソミー」(18番目の染色体が3本あるかどうか?)、「13トリソミー」(13番目の染色体が3本あるかどうか?)です。「トリソミー」とは基本的に2本の染色体が3本(1本多く)存在するという意味です。

21トリソミー(ダウン症候群)

21番染色体が3本(1本多く)に存在することによって発症する先天性障害です。

ダウン症とも呼ばれています。

18トリソミー

18番染色体が3本(1本多く)に存在することによって発症する重度の先天性障害で、生後1年以内に90%がなくなってしまうと言われています。

18トリソミーの男児は流産することが多いため、女児に多く見られます。

エドワーズ症候群とも呼ばれます。

13トリソミー

13番染色体が3本(1本多く)に存在することによって発症する重度の先天性障害で、生後1年以内に90%がなくなってしまうと言われています。

18トリソミーの男児は流産することが多いため、女児に多く見られます。

パトー(ペイトー、ぷっと)症候群とも呼ばれています。
 

新型出生前診断(NIPT)では21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーだけが検査対象となりますが、羊水検査では全ての染色体が検査対象です。
 

出生前診断の種類は?

出生前診断の種類です。

  • 超音波検査
  • 母体血清マーカー検査(クアトロテスト、トリプルマーカーテストなど)
  • 羊水検査
  • 絨毛検査
  • 新型出生前診断(NIPT)

 
それぞれのページで詳しくお伝えしますが、今までは、赤ちゃんや母体にリスクがないけど染色体に異常があるかどうかの確率だけがわかる確率診断(超音波検査、母体血清マーカー検査)、リスクがあるけど染色体に異常があるかどうかが確定される確定診断(羊水検査、絨毛検査)でした。

2013年4月より、「新型出生前診断(NIPT)」が始まり、リスクがなくかなり高い確率で染色体に異常があるかどうかがわかる診断できるようになりました。

「新型出生前診断(NIPT)」は確定診断ではなく確率診断なのですが、その精度は他の検査に比べると異なります。

染色体異常の可能性

日本産婦人科医会の公式サイトには染色体異常が発生し、ダウン症(21トリソミー)になる頻度が掲載されています。

  • 20歳:1,667人に1人
  • 25歳:1,250人に1人
  • 30歳:952人に1人
  • 35歳:385人に1人
  • 37歳:243人に1人
  • 39歳:147人に1人
  • 41歳:86人に1人
  • 43歳:50人に1人
  • 45歳:29人に1人

※年齢は妊婦さんのものです。
 
これらは一般的に言われている確率ですが、妊婦さんが「20歳だから大丈夫」、「40歳だから危険」という訳でもありません。

おなかの中の赤ちゃんが染色体異常になる可能性が「20歳の妊婦さん低く」、「40歳の妊婦さんは高い」のは事実ですが、誰にでも可能性があるため、100%の安心ではありません。

出生前診断を受けるかどうか?

25歳の妊婦さんで出生前診断をする人もいれば、40歳の妊婦さんでしない人もいます。

出生前診断について産婦人科医は検査内容の説明はしますが、検査を受けるかどうかなどのアドバイスは基本的にしません。

妊婦さんとご主人のご家族に相談するのもいいと思いますが、最終的に決めるのは妊婦さんとご主人です。

「〇〇が出生前診断を受けた方が良いって言ったから受けよう」、「〇〇のアドバイスだから従おう」などの理由で決めると、後悔してしまうことになり兼ねません。

第3者の意見

第3者の立場なら「そこまで(出生前診断)をしなくてもいいんじゃない?」と言うかもしれませんが、実際に自分が妊娠すると何の根拠もないのに楽観的にはなれません。

妊婦さんが不安になり過ぎるのは赤ちゃんにとってよくないです。しかし、出生前診断を受けないと出産までずっと不安になってしまう人もいます。

改めて言いますが、妊婦さんとご主人で徹底的に話し合い、どうするか決めましょう。

出生前診断を受けない人

出生前診断をしない人は「染色体異常がない」と信じるしかありません。

妊婦さんの年齢が若くても染色体異常の可能性はありますが、妊娠中にできる限り赤ちゃんにとって良さそうなことをして、とにかく信じましょう。

20代の妊婦さんでも出生前診断を受ける人もいますが、多くは35歳前後の妊婦さんから受ける人が増えます。
 

出生前診断をする意味

「出生前診断をする意味は何か?」

それは「染色体異常があるかどうかを確認すること」です。

染色体異常がなければそのまま出産へ進めますが、問題は染色体異常があった場合です。

染色体異常があっても出産する

妊婦さんと旦那さんだけではなく家族に心構えができ、染色体異常の子供の育て方の情報を得て、早めの準備ができます。

染色体異常があったら中絶する

悲しいことですが、出生前診断をするということは中絶についても考えなければいけません。

「染色体異常があれば心構えができる」とは言いましたが、実際にその判断は難しく、「染色体異常があったら中絶する」という悲しい現実を受け入れなければいけないかもしれません。
 

どの出生前診断でも100%の数値は出ません。確定診断では99%以上の数値は出ますが、それでも100%ではないことも覚えてください。

出生前診断で知ってしまう事実

超音波検査や母体血清マーカー検査は「染色体異常の可能性が〇〇%」と確率が、羊水検査や絨毛検査は「〇〇の染色体異常があり」と確定、新型出生前診断(NIPT)は「染色体異常の可能性は99%ない」または「染色体異常の可能性があるため羊水検査をしてください」と染色体異常があるかどうかは判断できます。

「ほぼ間違いなく赤ちゃんは染色体異常」ということがわかったらどうするか。

「このまま出産するか」、「中絶するか」の2つの選択肢しかありません。

新型出生前診断(NIPT)で起こる倫理的な問題

超音波検査や母体血清マーカーテストは気軽に受けられますが確率が出るだけのため、すぐに中絶には繋がらず、羊水検査や絨毛検査は費用が高く、赤ちゃんや母体にリスクがあるため、実際に検査を受ける人はそれほど多くありませんでした。

2013年4月に始まりました新型出生前診断(NIPT)は血液検査だけで染色体異常(21番、18番、13番)を調べることができるようになりました。

そのため「簡単に染色体異常を発見できるため、誰でも気軽に検査を受け、中絶に繋がるのではないか?」という倫理的な問題が出てきました。

新型出生前診断(NIPT)を受けるには条件がありますので(35歳以上など)、今のところ誰もが気軽に受けられることはありませんが、今後は条件が変わることもあります。

中絶するということ

最初にお伝えします。

nanaは決して中絶をおすすめしているわけではありません。

現実問題として赤ちゃんの染色体異常が確定されたら中絶する人が多くいます。「万が一、染色体異常でも早めに知っておけば出産後の準備ができるから出生前診断をする」という人は残念ながらごくわずかです。

第3者の立場で「染色体異常があったら中絶する、出産して育てるのどちらが倫理的に正しいことですか?」と聞かれたら、間違いなく「出産して育てる」と答えます。

しかし、妊婦さんの立場では簡単に答えられません。

実際に染色体異常の子どもを育てるには夫婦だけではなく、お互いの家族にまで影響を及ぼしますので、夫婦間でしっかりと話し合う必要があります。
 

 

出生前診断についてお伝えしました。