2013年4月からスタートした新しい出生前診断が、新型出生前診断(NIPT)です。

それまでは出生前診断と言えば、主に羊水検査、超音波検査、母体血清マーカー検査などでしたが、2013年4月以降からは、それらに加え、妊婦さんの血液から赤ちゃんの染色体異常がわかる新型出生前診断(NIPT)が受けられるようになりました。

当時のnanaは36歳で、始まったばかりの新型出生前診断(NIPT)を名古屋市立大学病院で受けた経験があります。

実際にnanaが名古屋市立大学病院で先生や看護師さん、専門のカウンセラーから教えてもらったこと、新型出生前診断(NIPT)の資料を読んで勉強したことを中心に、検査でわかること、条件、費用などを中心にまとめました。

新型出生前診断(NIPT)とは?

新型出生前診断とは、2013年4月から日本で始まった出生前診断です。

英語では「Non Invasive Prenatal genetic Testing」(無侵襲的出生前遺伝学的検査)ということから、その略である「NIPT」とも呼ばれます。

「母体血胎児染色体検査」と呼んでいる病院もあります(名古屋市立大学病院の公式サイトではこの呼び方になっています)
 

この新型出生前診断(NIPT)は、妊婦さんから20mlを採血するだけで、おなかの中の赤ちゃんに染色体異常があるかどうかがわかります。

アメリカの「シーケノム」社が開発し、すでにアメリカ、ドイツ、フランスなど世界20か国で実施されている検査なんだそうです。
 

新型出生前診断(NIPT)を受けられる条件

新型出生前診断(NIPT)は全ての妊婦さんが受けられる訳ではありません。

検査では妊婦さんと赤ちゃんにリスクがないため、「全ての妊婦さんを対象にすると多くの妊婦さんが検査して、もし赤ちゃんの染色体異常がわかったら中絶してしまうのではないか?」と危惧されているからのようです。

ここでは、nanaが実際に新型出生前診断(NIPT)を受けた名古屋市立大学病院の公式サイトを参考に、新型出生前診断(NIPT)を受けられる条件をお伝えします。

新型出生前診断(NIPT)を受けるための条件1

1~4のいずれかに該当すればOKです。

  1. 高齢妊娠(出産時に35歳以上)
  2. 胎児超音波・母体血清マーカー検査で染色体異常の可能性がある
  3. 夫婦いずれかがロバートソン型転座保因者で21トリソミーと13トリソミー児の出産をする可能性がある
  4. 染色体異常症に罹患した児を妊娠、分娩した既住を有する

新型出生前診断(NIPT)を受けるための条件2

1~5のすべてに該当する必要があります。

  1. 妊娠10週~15週(できれば12週~14週)
  2. 遺伝カウンセリングを夫婦(またはパートナー)で受けられる
  3. 夫婦(またはパートナー)の同意書にサインできる
  4. 結果説明後と検査の約1年後にアンケートに答えられる

 

nanaが名古屋市立大学病院で新型出生前診断(NIPT)を受けたときには「単胎(1人の赤ちゃんを妊娠している)」という条件もありましたが、現在では双胎(双子)を妊娠していても可能になりました。

カウンセリングは夫婦(またはパートナー)で受ける条件の意味

新型出生前診断(NIPT)の検査前、結果を聞くときには必ず夫婦(またはパートナー)同伴である必要があります。
 

病院の先生が

「どんな夫婦(またはパートナー)か?」

「検査を受けることを夫婦(またはパートナー)で、しっかりと話し合ったか?」

「赤ちゃんに染色体異常があった場合、夫婦(またはパートナー)で協力して乗り越えられるか?」

などをチェックします。
 

複雑な事情がある場合は考慮されることもあるかもしれませんが、基本的には夫婦(またはパートナー)が一緒でないとカウンセリングも受けられません。

仕事などいろいろと忙しいかもしれませんが、新型出生前診断(NIPT)は、妊娠10~15週の間に検査しなければいけませんので、お互いに日程を調整して、カウンセリングだけでも早めに受けましょう。

新型出生前診断(NIPT)の費用

新型出生前診断(NIPT)の費用は、病院によって異なりますが、15万円~20万円です。

出生前診断の羊水検査は約10万円、母体血清マーカー検査(クアトロテスト、トリプルマーカーテストなど)は約2万円と考えると、新型出生前診断(NIPT)はかなり高額です。
 

新型出生前診断(NIPT)の検査で3つの染色体異常がわかる

人の染色体は46本あり、それぞれペアを組んで1番から23番となっています。

新型出生前診断(NIPT)では、21番、18番、13番の染色体に異常があるかどうかを調べることができます。
 

通常、ペアになっている染色体が3本存在すると染色体異常となり、それぞれの染色体の番号によって呼び名が異なります。

  • 21トリソミー(21番が1本多い)
  • 18トリソミー(18番が1本多い)
  • 13トリソミー(13番が1本多い)

 
21トリソミーはダウン症候群、18トリソミーと13トリソミーは生後1年以内に90%が亡くなってしまう染色体異常です。

新型出生前診断(NIPT)では、当初、21トリソミーのみが検査対象でしたが、18トリソミーと13トリソミーも追加された経緯があります。

DNA検査ではすべての染色体異常がわかる

nanaが名古屋市立大学病院で実際に新型出生前診断(NIPT)を受けたときに、先生から言われたのですが、新型出生前診断(NIPT)の検査では赤ちゃんのすべての染色体異常がわかるそうです。

しかし、すべての染色体異常を伝えてしまうと倫理的に問題があるため、新型出生前診断(NIPT)の結果として伝えるのは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーのみとなっているそうです。

すべての染色体異常については検査機関がわかるのみで、病院の先生には情報が来ないため、「私(先生)もわからない」と言われました。

染色体の調べ方

妊婦さんの血液の血漿(けっしょう)成分には、胎盤の絨毛(じゅうもう)細胞から入った胎児のDNAが少し含まれています。

そのDNAに染色体異常があるかどうかを調べます。

染色体異常の検出精度

新型出生前診断(NIPT)を開発したシーケノム社は、21番、18番、13番の染色体に異常があるかどうかの検出精度は約99%以上と公表していますので、かなり信頼は高いと言えます。

新型出生前診断(NIPT)の倫理的な問題

新型出生前診断(NIPT)では血液検査のみで「おなかの中の赤ちゃんに染色体異常があるかどうか?」わかるため、リスクがなく出生前診断を受けられます。

新型出生前診断(NIPT)を受けるには条件があり、費用も15万円~20万円かかりますので、「誰でも簡単に」という訳にはいきません。

もし今後条件が緩和され費用も安くなれば、気軽に新型出生前診断を受けることができるようになるかもしれません(実際に現在でも無認可施設で気軽に受けられる状態です)

それに繋がるのは「染色体異常だから中絶する」と考える人が多く出ることです(現在、新型出生前診断(NIPT)で陽性の判定が出た場合は羊水検査が必須となります)

第3者の立場では「染色体異常があるという理由で中絶するのは絶対にダメ」と思うかもしれませんが、妊婦さんや旦那さん、そのご家族にとっては今後の人生を決める重要な問題です。

今後、新型出生前診断(NIPT)について倫理的な問題が大きくなるかもしれませんが、当事者以外がこの問題を語るにはあまりにも難しい問題です。
 

新型出生前診断(NIPT)の検査結果

新型出生前診断(NIPT)の検査結果は、1週間~2週間かかるため、妊婦さんには検査をしてから約2週間後の予約を取ることが多いです。

検査の結果には「陰性」か「陽性」、ごく稀に「判定保留」があります。

陰性の場合

新型出生前診断(NIPT)で検査する3つの染色体(21番、18番、13番)に何の異常もないことを「陰性」と言います。

陰性の検出精度は99%以上のため、染色体異常の可能性はほとんどありません。

陽性の場合

「陰性」に対して反対の意味が「陽性」です。

「陰性は染色体異常がない」だったら、「陽性は染色体異常がある」と思ってしまいますが、そうではありません。

新型出生前診断(NIPT)の「陽性」は「染色体異常かもしれない」という意味になります。

簡単に言いますと「陰性と確定できない」という状態です。

そのため、「陽性」という検査結果が出た場合は、必ず確定検査である羊水検査を受けなければいけません。
 

新型出生前診断(NIPT)はあくまでも染色体異常の確率がわかる「確率診断」(とは言え陰性の場合は99%以上わかります)、羊水検査は染色体異常が確実にわかる「確定診断」です。

新型出生前診断(NIPT)で「陽性が出たから中絶する」、「陽性が出ても気にせずに産みたいから羊水検査はしない」という選択はできないことになっています。

陽性が出てから羊水検査までの心境

羊水検査は妊娠16週~18週に行います。

妊娠10週に新型出生前診断(NIPT)を受け、2週間後の妊娠14週に「陽性」と検査結果が出た場合、羊水検査までの2週間~4週間も「おなかの中の赤ちゃんに染色体異常があるかどうかわからない不安な状態」で待たなければいけません。

妊娠14週で新型出生前診断(NIPT)を受けると、検査結果が2週間後の妊娠16週のため、すぐに羊水検査を受けなければいけません。

どちらにしても辛い状況には変わりがありませんので、旦那さんや家族のサポートが必須となります。

判定保留

妊婦さんの血液中に胎児成分が少ない場合は「判定保留」(ごく稀)になります。

「判定保留」の場合は再検査になりますが、基本的に追加費用はありません。

「判定保留」が数回続くと、「陽性」と同じく羊水検査をすることになります。

新型出生前診断(NIPT)の検査データ

新型出生前診断(NIPT)が始まった当初(2013年4月)のデータですが、参考までにご紹介します。

新型出生前診断(NIPT)を実施する病院や施設の医師らで作る共同研究組織「NIPTコンソーシアム」が全国15の病院や施設を調べたところ、新型出生前診断(NIPT)が始まった2013年4月の1か月間で検査を受けたのは30歳~47歳の441人、検査を受けた人の91%は「35歳以上の高齢妊娠」でした。

当初、「NIPTコンソーシアム」は2年で1,000人程度を想定していましたが、1か月で441人と大幅に予想を上回りました。

この「30歳~47歳の441人」の中に、名古屋市立大学病院で新型出生前診断(NIPT)を受けたnanaも入っています。

陽性になった割合

上記の「NIPTコンソーシアム」の調べで、新型出生前診断(NIPT)の検査を受けて陽性になった妊婦さんの割合はこちらです。

  • 441人の中で結果を把握しているのは257人。
  • 257人の中で「陽性」と判定されたのは9人。
  • 9人の中で21トリソミー(ダウン症)が6人、18トリソミーが3人、13トリソミーや「判定保留」は0人。

 

新型出生前診断(NIPT)の流れ(例:名古屋市立大学病院)

nanaが新型出生前診断(NIPT)を受けた名古屋市立大学病院の「検査の流れ」をご紹介します。

他の病院や施設でも似ていると思うので、参考にしてください。

1回目の受診:カウンセリング(産科婦人科)

初診は予約ができないので、待ち時間は長くなります。

診察券を発行

初めて受診する病院だったため。

1回目のカウンセリング(nanaだけ)

自然妊娠かどうか、結婚した年齢、分娩場所、病歴、アレルギーなどを聞かれます。

体重、血圧を測定

自分で測定しメモをとります。

尿検査

別の場所で尿検査をします。

2回目のカウンセリング(夫婦)

新型出生前診断についての説明(3種類の染色体のみを検査する、費用は20万円ぐらい、陰性は99%わかるなど)

羊水検査についての説明(ほとんどの染色体を調べる、費用は8万円ぐらい)

超音波検査で赤ちゃんの状態を確認します。

2回目の受診:カウンセリング&採血(産科婦人科)

予約ができるため、初診に比べて待ち時間が短くなります。

カウンセリング

新型出生前診断について再確認。

検査を受けることを決定。

採血

血液中にある赤ちゃんの染色体を調べるため、20mlの血液を採ります。

3回目の受診 結果報告(臨床遺伝医療部)

外来の診察が終わった時間のため、待ち時間はほとんどありません。

結果報告

検査結果が「陰性」だった場合は出産後のアンケートを提出するのみ、「陽性」だった場合は羊水検査(費用は別途)を受けることになります。
 

新型出生前診断(NIPT)の検査は、血圧、体重測定、尿検査、採血のため、とても簡単です。

しかし、検査結果について考えると不安で夜も眠れいないぐらいになりますが、ご主人や家族と支え合って不安を軽減できるよう努めてください。
 

新型出生前診断(NIPT)が受けられる無認可施設の存在

ここまで、新型出生前診断(NIPT)の条件や費用、検査の流れを中心にお伝えしましたが、これらは日本医学会などが認定する施設の内容です。

この認定施設というのは、大学病院、大学附属病院、総合病院、医療センターなど、大きな施設(全国で約90か所)のことです。

しかし、現在「日本医学会などが認定しない施設=無認可施設」でも、新型出生前診断(NIPT)が受けられます。

この無認可施設は、認定施設よりも新型出生前診断(NIPT)の費用が安かったり、年齢や夫婦(またはパートナー)同伴という条件がなかったり、認定施設よりも気軽に検査が受けられます。

無認可施設と言っても、日本医学会などの指針に沿っていないという意味で、違法ではありません。

検査結果に関しては、実際に採血した妊婦さんの血液を検査会社に送るため、採血するところが認定施設か無許可施設かの違いということにはなります。

そのため、無認可施設には産婦人科以外にも、産婦人科がない規模が小さいクリニックや美容外科もあります。

ただ、無認可施設には日本医学会などが重要視している新型出生前診断(NIPT)の十分な説明、専門の知識を持つ有資格者によるカウンセリングがありません。

あくまでも、「採血→検査結果を伝える」だけです。
 

nanaは名古屋市立大学病院で新型出生前診断(NIPT)を受けました。

当時は、無認可施設がなかったので、施設選びについては考えるまでもなく、自宅から近い認定施設の名古屋市立大学病院になったんです。

そのときの詳しい内容は下記のページから(Part1からPart9まであります)読んでもらえればわかりますが、新型出生前診断(NIPT)は受けるだけではなく、もし陽性だったら羊水検査、さらに中絶という選択に迫られる可能性があります。

そのため、nanaは新型出生前診断(NIPT)に関する十分な説明や専門のカウンセラーによるカウンセリングはとても重要なことだと感じましたし、先生を含む専門家の方々の話を聞けて安心できました。

しかし、費用や条件など、さまざまな理由で、認定施設で新型出生前診断(NIPT)を受けられず、無認可施設に行く妊婦さんもいるんだと思います。

私にはどちらが正しいということはわかりませんが、どうなるにせよ夫婦でしっかり話し合って決めることが、一番大切なんじゃないかなと思います。